「酔」 琥珀色に染まったグラスを片手に貴女の言葉に耳を傾けているよ でも、酔った私の頭の中は、貴女の言葉が心地よいリズムに聞こえて リズムの内容を理解しないまま、ただ相づちをうつだけ… そんな私の態度に気づいているのかいないのか、貴女はリズムを続けている。 私はリズムの切れ間に相づちをうちながら 時折聴き留めたリズムをそのまま口にすると 貴女は「そうなのよ」と言って、またリズムを口ずさむ。 私はまた黙ってリズムを聴きながら、貴女のリズムに合わせてる。 …こう言うのを「貴女に酔った」と言うのではないのかと思う。 藤次郎正秀